なぜ、子供が自然に畏敬の念を持つような絵本を作りたいのか⑤〜共存する世界への第一歩〜

私は、妖精の本と出会って以来、のめり込むように様々な本を読み、それによって妖精のことについての知識を増やしていきました。さらに、妖精たちとどういう風に暮らしていけばいいのかを学ぶことで、日に日にそんな世界で、自然に感謝し、尊敬し、畏れながら、妖精たちと共存していきたいという思いを強めていきました。

 

妖精と共存するためには、いいコミュニケーションを取ることが必要だと思いました。そして、私はどうしたらそれができるかを考えました。そこで本を読み進めていくと、妖精は自然の化身であり、その自然を守っていくことが妖精を守っていくことだとわかりました。恥ずかしいことに、私は今まで、環境のことや自然にいいものを使おうということを考えたことはありませんでした。しかし、自然に意識を向けることが妖精たちのためになるのならと、その日からどうしたら自然を守れるか考えました。そして、その第一歩として、自然に優しい洗剤を使うように恐る恐る母に頼んでみました。私は、妖精のことを知ったうえで、勇気を出して母にこのことを提案したのですが、母にとっては、私が自分からこんなことを頼むなんて、今までになかったことだったため、とても驚いたようでした。

 

それと同時に、私もとても驚きました。なぜならば、いつも私をコントロールしようとしていた母が、私の言葉を聞き、あっさりと自然に優しい洗剤に変えてくれたからです。私は、母は絶対に私の意見に反対したり、私の話を聞いてくれないと思っていました。今まで母に一方的に言われたことはあっても、母が私の言うことを聞いてくれた覚えがなかったのです。だから、本当に驚きました。

 

そこで、母になぜ洗剤を変えてくれたかを聞きました。すると母は「ロナが妖精にいいっていうなら、そうするよ」といいました。この時私は、妖精に対する、私の思いが伝わったと言う喜びを感じながら、きちんと自分の思いを持って、なぜそれが必要なのか分かるように伝えれば、人はその言葉を聞いて行動してくれるんだと、初めて実感したのです。