なぜ、子供が自然に畏敬の念をもつような絵本を作りたいのか③〜畏れを感じる〜

私は本を読むことを禁止した母から隠れて、ファンタジーの世界にのめりこみました。ファンタジーの世界は私にとって、唯一ありのままの自分を受け入れてくれる、そんな安心できる場所でした。

 

ところで、私には3歳下の妹がいます。彼女は私と違う性格で、母から私のように怒られていなかったのですが、その彼女も私の影響を受けてファンタジーの世界を好きになりました。

 

その妹とよく一緒に、妖精やドラゴンの話をしたり、青森県の山の中にある祖父母の家に遊びに行った時に、山の神様や、精霊たちに挨拶したり、トトロを探しに行ったりしました(ちなみにトトロという名前は、妖精のトロールから取ったと言われています)。祖父母の家に泊まった夜には、お化けだか、妖精だか分からない不思議なものをみたこともありました。

 

ある時、祖父母の家から少し歩いたところに、森へつづく一本道がありました。その時は黄昏時で、夕日が眩しく、道が真っ赤だったのを覚えています。私は行ったことのない道をみて、ワクワクした気持ちになりました。どうしても探検してみたいと思い、妹を半ば強引に連れて行こうとしましたが、妹は泣き叫び、そこから一歩も動こうとはしませんでした。その時まで、好奇心にしたがって、前に進もうとしていた私ですが、その時初めて目の前には見えていないけれど、そこにあるなかに対して、畏れる気持ちが湧き上がりました。一本道のその先は、何がどういけないのかはわからないけれど、これ以上は私たちが進んではいけないところだと感じたのです。

 

私たちはその感覚に従って、来た道を戻ることにしました。

当時私たちは、妖精学のことなど全く勉強していない子どもの時だったので、何も考えていませんでしたが、今思っても、あの時あのままあの道を進まなくてよかったと思っています。

 

そして、これが「りくとようせいとふしぎの森」のベースになるのですが、それはまだちょっと先のお話。